B唇に指を這わせ2 | ナノ

B唇に指を這わせ2












「…でも、俺には無理だ」
「何がだ」


 耳元で囁かれた声におもいっきり後ずさった。回想から引き戻したのはもちろん大也。見事な引かれ様に大也は眉を寄せる。恭徳は「やっちまった」と苦笑した。


「…なあ柏木。俺が女だったらどうする?」


 不意に思い浮かんだ疑問に、大也は一拍の間動きを止めた。そして少々考え込んだかと思うと、ニヤリと口角を上げる。


「そうだな。押し倒して既成事実作る、か?まあとりあえずお前のこの唇が俺以外の名前を呼べないように、」


 大也は少し離れた恭徳のもとにゆっくりとした動作で近寄り、指を唇に這わせた。本人は目を見開き固まっている。どうやら状況に追いつけていないようだ。それを幸いとして、大也は恭徳が丁度背にしているベッドに引き倒す。


「口で、塞ごうか」
「ッ!」


 固まったままの恭徳に口付ける。そこで漸く金縛りが解けた恭徳が大也の胸板を全力で押して自身の口を両手で抑えた。


「俺は恭徳を愛している。男だとしても恭徳には変わりないだろう?…お前は?」
「…普通、は、告白の方が先だろ」


 顔を真っ赤にしたまま恭徳は大也をペシリと軽く叩いた。


「で、返事は?」
「…馬鹿」


 顔を見られたくなくて、恭徳は大也の胸に顔を埋めた。愛の言葉は、君だけに。


「俺も…―――」


*


付き合う切欠となった話
大也は策士俺様



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