A触れた指先にうずく熱2 | ナノ

A触れた指先にうずく熱2












「俺特製ココア」


 なんてこともなく答えた大也に、恭徳は不審感を漂わせながらもおずおずと手を出した。その仕草が警戒心の強い動物のようだ、と大也は思ったが口には出さない。出したら出したでキャンキャン吠えるに違いないからである。


「…あ、りがと」


 恭徳は受け取る際に相手に聞こえるか聞こえないかくらいの声量で呟いた。しかしどうやらバッチリ聞こえたらしい。大也は目を丸くした後微笑んだ。


「どういたしまして。…可愛いな、お前」
「っ可愛くない!うわっ、やめろよ柏木!」


 堪らず大也はグシャグシャと頭を撫でる。恭徳は慌てるが、離してくれる気配も無いので諦めたのか大人しくなった。
 ふと指先を見つめる。何だか、マグカップを受け取る際に触れた指先に熱が灯った気がした。


*


恭徳が大也を意識した時の話
この時点で既に大也は気がある
大也→恭徳



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