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「柏木、笑うなっ」
「先生をつけなさい。俺を敬え」


 大也は恭徳の家庭教師のアルバイトをしている大学2年だ。恭徳は折角二人きりなのに何で勉強ばっかりなんだ、と嘆息した。
 別に勉強が嫌いな訳ではない。いや、嫌いな訳がない。勉強自体は嫌いだが、それを怠ることが出来ない事を恭徳はよく理解していた。
 だから、嫌でも勉強はするが、だからといって恋人と二人なのだから…ぶっちゃけイチャイチャしたかった。


「…ばーか」


 ボソリと呟いて恭徳は再びシャーペンを握る。
 ちなみに余談だが彼は基本的に0.3を好む。折れやすいのが玉に瑕だが、乱雑な口調とは真逆に恭徳が書く字は女子よりも読みやすく綺麗で、それでいて一文字一文字が小さい。その為筆箱の中にあるシャーペン4本の内3本は0.3である。


「拗ねるなよ」


 困った顔で大也が机に置かれた恭徳の左手に触れる。びくりと体を震わせて困惑する彼に甘く微笑みかけ人差し指と中指を握り込んだ。


「早く終わらせろ」
「…うん」


 恭徳ははにかみながら頷いた。心中で気合を入れて難解な文字を見る。指から伝わる温もりが恭徳を激励しているようだった。


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一応家庭教師×受験生なはず
攻:柏木大也(かしわぎひろや)
受:梶恭徳(かじやすのり)



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