姫はじめ | ナノ

姫はじめ












「日本にはヒメハジメというモノがあるそうですネ?」


大学の冬休みの課題であるレポートと睨めっこしていたら、ルームシェアしているルームメイトのジェイが話しかけてきた。
そんな俗語どこで聞いてきたんだよ。
俺は溜息をついた。


「あるにはあるけど、ジェイは知らなくて良いと思うよ」
「イエイエ!日本の文化を学ぶために留学してきたのデスから」


勉強熱心なのは良いことだが、姫はじめの説明を求められても困る。
ジェイはスカイブルーの瞳を期待に輝かせる。
え、マジで俺が教えなきゃいけないのか?


「…姫はじめは1月2日にすることだ」
「何をするのデスか?」


オブラートに包んだというのに、やっぱり駄目なのか。
ああもうどうにでもなれ!


「年明けしてから初めて夫婦の営みをすることだよ…」
「OH! MAKE LOVEデスネ?」


くそ、恥ずかしい。
男友達と下ネタを話すのは全然平気だというのに。
ジェイが童話に出てくる王子サマのような風貌だからだろうか。
彼を汚してしまったような気がする。
まあ気がするだけだろうが。
なにしろこの男は…。



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