気持ちが(動き出す) | ナノ

気持ちが(動き出す)












「中戸先生」

「お前…」

「3組の久元です」

「ああ、どうした?」

「一つ聞きたい事があって」

「…?質問じゃないのか」

「はい。…葛西稔について」

「!」

「稔をどう思っていますか?」

「…ただの生徒だ」

「嘘つきですね。"ただの"生徒なら即答するでしょう?」

「お前は何がしたい」

「うーん、宣戦布告?」

「………」

「俺、稔の事が好きです」

「…それがどうした。俺には関係無いだろう」

「いーや、ありますね。不毛な三角関係の主役じゃないですか」

「俺は恋愛感情を持たない」

「それは建前じゃないですか」

「は」

「教師という立場からの言葉ですよね。本心は違う」

「なっ」

「一個人として。一人の男として稔をどう思っているのかが聞きたいんです」

「っ」

「別にライバルを増やしたい訳じゃないけど、このままじゃ正々堂々戦う事すら出来ない」

「………」



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