人に恋した人食い鬼7 | ナノ

人に恋した人食い鬼7












「どういう事だ…?」
「僕が説明するよ」


 眉を寄せて呟いた私に、男は「通りすがりの妖に聞いた事なんだけど」と前置きして話し出した。どうやら、予想は外れずに、私は人間になったようだ。

 無理やり禁術を使った私は、普通なら死に消滅していたらしいが、多量の魔力があった為に死ななかった。ただし全て魔力を使い切り、その拍子に妖から人間に転身したのだという。
 …そんな事、起こり得るのだろうか。長く生きてきたが聞いた事が無い。考え込む私に男はこう続けた。


「妖の長、っていう人が配慮したって言っていたよ」
「長様が?何故」
「その妖が言うには"その度胸に感服した"とかなんとか仰っていたって」
「…そうか。ならば感謝せねばならないな。しかし人間になった身では妖の世には入れぬ。どうしたものか」


 感謝を述べたくとも、この身では行けない。妖の世には基本的に人は入る事が出来ない。時々迷い子が入る事はあるが。



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