人に恋した人食い鬼1 | ナノ

人に恋した人食い鬼1












 私は人間を主食とする妖。姿は人間の女と大して変わらない。異なるのは赤い瞳と黒い爪、それから額に生えた角くらいだろうか。
 人間は私の種族の事を「人喰い鬼」と呼び畏れる。言い得て妙だ。
 まあ人間を食べると言っても人肉を食べる訳ではなく、魂を頂戴するのだが。ちなみに魂を奪われた人間は肉体を残して死ぬ。
  魂は綺麗なものほど美味で、年季が入ればもっと美味しいのだが、人間というのは年齢を重ねていく毎に汚れていく生き物だ。
 だから食べるのは専ら6、7歳前後の子供である。それよりも幼いと苦味が残るし、それ以上だと魂は汚れて酸っぱくなる。
 私は極上の人間を見つけた。年齢は24、性別男。驚く程美しい男だ。
 だけど生の美しさではなく、儚い美しさを持っていた。佳人薄命という言葉の似合う青年だった。年の割に魂に濁りはなく透き通っていてとても美味しそうな人間。



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