03



 天乃が通うこの学園には、外部にとって不可思議な制度がある。それは「親衛隊」と呼ばれるもので、簡単に言えば美形を崇拝する組織だ。正直「ファンクラブ」と何が違うのかと問われれば言葉に詰まるのだが。
 その手に詳しい方々(つまり今読んでいらっしゃるお姉様方やお兄様方)には「王道」と言うと、即刻理解してくれるだろう。
 しかし普通「王道」と呼ばれる世界の中で親衛隊というものは悪く見られがちだが、この学園では逆に和気藹々としている。
 とは言ったものの、そうした平和な親衛隊になったのは、現在の各親衛隊隊長…特に、生徒会会長の親衛隊隊長である天乃のおかげと言っても良い。本人にはその自覚は皆無であるのだけれども。


「今から生徒会会長親衛隊会議を始めます」


 志応が真面目な顔をしてそう言い放った後に、ワッと一斉に隊員達は騒ぎ出す。会議とは名ばかりで、実際は「お茶会」に過ぎないこの場はお菓子に溢れている。
 生徒の頭に立つ会長の親衛隊組織である故に、人数が多い。とうの昔に百人は超えているために、当然一般の教室では入りきらない。故に講堂を借りて行われているのだ。

prev next

 



top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -