02



「なぁに?」
「"なぁに?"じゃないよ。会議が始まる時間でしょ」


 腰に手を当てて頬を膨らます、自分より少しだけ背の高い志応を、天乃は見上げた。髪と同様の茶色の瞳が志応の姿を映す。天乃には多少劣るものの、それでもトップクラスの美人である志応と天乃の二人のやり取りを、周囲は恍惚とした目で見守る。
 本人達に自覚はない。否、訂正しよう、天乃には自覚がない。周りの注目を浴びていることに気付いた志応は、自分より幾分か小さな手を握った。


「隊員を待たせちゃ駄目でしょ。説教は後にしてあげるから早く行くよ!」


 純粋無垢な目がパチリと一つ瞬いて志応を見やる。焦れた志応は天乃の手を引いて歩き出した。それにつられて歩く天乃の足取りは相変わらずふわふわとしていた。とある生徒はうっとりしながら天乃のことをこう言う。


「綿菓子のような…そうですね、まさしく兎みたいに愛らしい御方ですよ」と。そしてそんな彼等の肩書きは。


生徒会会長親衛隊隊長
―――羽咲天乃。


生徒会会長親衛隊副隊長
―――三宅志応。

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