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「―――お疲れ様ぁ!」
久保が疲れきった顔に笑顔を浮かべる。どこか晴れ晴れとした表情に周囲も沸き立つ。室内に運ばれた豪勢な食事を全員で取り囲んで各々に手を合わせて食べ始める。
窓の外は真っ暗で21時をまわっている。本当ならばとっくに帰らなければならない時間だが、生徒会や風紀は特別に許可されている。その特権を利用して、秀慈が室内で夕食を食べられるように手配した。
食堂や購買、自室とはまた違う空間に異なるメンバーでの食事は、どこか非日常的でワクワクする。
「藤方に森、小林、三宅、そしてうさぎ。助かった、礼を言う」
そう言って頭を下げた秀慈に倣って新條と久保も頭を下げた。目を丸くして慌てて顔を上げさせようと口を開こうとする面々の中で、天乃は一人ほにゃりと笑んだ。
「どーいたしましてぇ」
誠実な感謝の気持ちを受け止めた。天乃はその方が自分にとっても彼らにとっても満足出来るだろうと思ったのだ。口を開きかけた周囲は笑みを浮かべた。
「どういたしまして、ですね」
和やかな空気に秀慈達も顔を上げる。そして一つ頷いて同じように柔らかく微笑んだ。冷めない内に早く食べましょう、と新條が促して止めていた手をそれぞれまた動かし始める。
(―――今はまだ、始まったばかり)
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