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 先程まで無表情だったのが嘘のようにふにゃりと笑んで癒しオーラを撒き散らしている。秀慈に頭を撫でてもらった天乃はとことことキッチンへと向かった。
 後ろ姿を見送って志応は書類に目を戻した。積み上げられた紙の山に「よしっ」と腕捲りをして手を伸ばした。


「―――どーぞ」


 数分経って天乃はお盆を持って戻ってきた。立ち込める紅茶の良い香りに全員が一旦手を止めた。天乃は一人ずつにティーカップを配っていき、最後に小林、新條、久保に渡す。
 テーブルの上に散らばった走り書きのメモを手に取って見てみる。


「なかなか良い案が出なくてねー」


 久保が困った表情で溜息を吐く。


「コスプレしたら良いんじゃないですかぁ?」
「ありきたりじゃないですか?」


 新條の言葉に天乃がにっこりと笑う。

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