「初めまして。私は新條美麗です」
「あ…羽咲天乃です」
未だ抱えられたままだったのでその場で小さく会釈した。その時にぴょこんと跳ねた髪に誘われるがまま新條は撫でた。
びくりと体を震わせた天乃だったが黙って甘受する。どことなく警戒しているのを察した新條は何だかなつかない動物を相手にしているようで和んだ。
仕事仕事仕事でピリピリと荒れていた心も段々和らいでくる。
「"うさぎ姫"と呼ばれるだけのことはありますね…」
「…?」
「何でもありません」
合点のいかない表情をする天乃に小さく笑った。うさぎとはよく言ったものだと内心納得する。
(どちらかと言えば白うさぎ、ですかね)
汚れのない白が、新條にはとても眩しいものに思えた。
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