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「…おおかみさん?」


 秀慈が考え込み始めたのを不思議に思った天乃が目を瞬かせる。悪戯を思いついた少年のような表情を浮かべて天乃に尋ねた。


「仕事、手伝ってくれないか?」
「へぁ?」


 仕事?と首を傾げながらも頷いた天乃に秀慈はニヤリと笑った。その笑みにドキリと心が跳ねたのを感じた天乃は自分の胸を押さえてどうしてだろうと怪訝そうな表情をする。


「ひゃっ!」


 グンと引っ張られて高くなった視界に驚きの声をあげる。キョロキョロと見回した。愉しげに細められた目に見惚れる。


「三宅には俺から連絡しておく」
「え、え?」


 唐突に出てきた志応の名字に戸惑う天乃をクツリと喉の奥で笑う。秀慈は自分でも珍しく満面の笑みを浮かべているのだろうと分かった。


「行こうか―――生徒会室に」

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