03



―――峰はもともと、無関心無表情である。たとえ何十人に襲い掛かられても興味がない。それでも全員を倒してみせる峰も化け物ではあるのだけれど。
 そんな峰は、ましてや動物なんて興味皆無だ。しかし視界の端に映ったその「白」に目を奪われた。純白とも言えるその白に、惹かれた。
 無意識に足を進め、それを持ち上げてみれば白い白い猫だった。スラリとした大人の猫は短毛で触り心地が良い。動物に詳しいわけでもないが美人猫だと峰は思った。
 そのまま観察してみるが、猫は鳴き声さえ発さずに峰の方をじっと見つめてきた。どこかで引っかかりを感じ、しかしそれ以上にその猫の存在が脳内に焼きついた。本能で欲している。これだ、と。求めていたものはここにある、と。


「来るか?」
「?」
「俺と、来るか?」


 峰の言葉にようやく意識を取り戻した都。もう一度同じ言葉を吐き出す峰を見上げる。見定めるように目を細めると、都は了解したとばかりに尻尾を揺らした。
 それを了承と受け取った峰は立ち上がる。歩く振動が伝わるのを感じながら、都はゆるりと目を細めたのだった。

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