「にゃー(うーん)」
僕、これからどうしよう。少年だった猫、都が考え事をしていれば、頭上に影がかかった。
「?」
見上げれば、そこには赤。鮮やかな赤に都は目を奪われていた。ひょい、と都は「赤」に抱き上げられた。
「…美人だな」
すぅ、と目を細める「赤」に見覚えがあった。「赤鬼」と呼ばれ恐れられる人、有村峰。特徴的なその真っ赤に燃え上がった炎ような色の髪は本物なのだそう。
都は冷静な頭の中で、確かにその髪が人工的なものではないことに納得していた。あらゆる噂の内容はあまり良いものではない。噂で判断するならまさしく彼は不良だ。
否、“噂”で判断しなくとも実際に都は一度だけ返り血で血塗れの峰を見たことがあった。明らかに峰が倒したであろう男たちは地面に突っ伏していて。その異様な空気の中で都はただただその「赤」に目を奪われていた。そう、今と同じように。
「………」
都は未だにその赤に目を奪われたまま、じっとしている。その都の様子を峰は更に見つめていた。
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