05
元来ほんわかした性格である都はそう結論づけた。好きなものは好き、嫌いなものは嫌いと実はハッキリ区別する性質なのである。
珍妙な出会いだったからか最初は混乱していた都だったが、すっかり落ち着いて峰に身体を委ねる。
「あのね、赤」
「…?」
「赤がすごく、きれいだったんだ」
ふわりと都は頬を緩めた。そんな彼を探るようにして見るが、しかし意図を汲みかねて首を傾げた。
「初めて見たとき、峰のこと『赤』だって思ったの。たぶんそのときから峰のことずっと、ずっと気になってたんだよ」
何も知らなかった都に鮮烈な印象を与えた峰の『赤』。いつしかその赤を目で追うようになっていた。きっと、この目で見たときから心は奪われた。都はそう言って笑う。
対して峰はその抽象的すぎる言葉に戸惑うが、なんとなく言わんとすることに気づき、ただ黙って耳を傾けた。
「一目惚れってこんな感じかなあ」
それを言うなら。峰は思った。
「俺も」
「?」
「俺も、一目惚れだ。…と思う」
惹かれたのはその純白。人間の姿に戻った都にはその面影は無いが、彼のイメージカラーを問えば即座に白だと言える。それが心のきれいさなのかなんなのかは峰自身にもわからない。だが、そこには確かに穢れのない色が存在していた。
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