良かった。うん、良かったんだけど、なんだろう。なんかモヤモヤする。どうしちゃったんだろう、僕。
うんうん唸る彼を暫しそのままの体勢で見守る。
悔しいというか、寂しいというか。なんかこう、そのためにキスしたの?って聞きたい…ってあれ、これじゃあ僕が峰のこと好きみたいじゃないか。え、好きなの?
「好きかもしれない」
「何がだ」
「峰が」
「俺もだ」
バッと峰を振り返る。そこにはうっすらと笑みを浮かべた端正な顔立ちが。
あれ、もしかしなくとも口に出してた?出してたよね。あちゃー、うっかりやっちゃったよ。
混乱しつつも頬を染めて峰を上目遣いで見る。
「…僕のこと、好き?」
「好きだ」
「ドッキリじゃない?」
「違う」
都はふにゃりと破顔した。峰の逞しい背中に腕を回して抱きつき、耳元で囁く。峰は唐突な彼の行動にカチンと固まったが、都は構わずに更に腕の力を込めた。
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