そんなわけないのに、何故だか甘く感じる。頬を上気させて必死に受け入れる都を見て目元を緩めた。真綿に包むように優しくしたいと思う気持ちと、もっと自分に狂ってしまえと乱暴にしたくなる気持ちが相反する。
峰は口の中を蹂躙し、歯列や裏をなぞって舌を絡め取る。そうして数分後、漸く離された二人の間には銀色の糸が引いた。
「み、ね…なんで…?」
はふはふと息をしながら峰を見上げる。どうして自分にキスをしたのかまるで分からない。嫌ではなかったが、男同士なのにという思いが強かった。
「したかったから」
そんな都の疑問の返答は、いたってシンプルだった。パチパチと目の開閉を繰り返す。
「…美味しそうだったからな」
そう言って唇を人差し指でなぞる。峰の表情がどうにも色気を孕んでいて、顔に熱が溜まる。
「それに」
「…?」
「なくなった」
都の体を片手で引き寄せ、頭を撫でてやる。目を見開いて自分でも頭と尻を確認した。しかしそこには何もなく。
「耳と尻尾…」
「…賭けだったが」
マウストゥーマウスをすれば猫耳も尻尾もなくなるのでは、という提案は成功したらしい。何だか複雑な心境に陥る都。
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