01



 そういえば、と都は首を傾げる。猫になった時に感じた違和感は何だったんだろう。むむむ、と眉に皺を寄せて考え込んでいると、ピンと閃いた。


「鞄!」
「鞄?」


 オウム返しした峰に頷く。そう、鞄を忘れていた。人間だった時は鞄を持っていたはずだ。ならその辺りにあるのではないだろうか。もしそこに制服もあったならラッキーだ。


「鞄、取りに行かなきゃ」
「…その格好で?」


 勢いよく立ち上がった都だったが、彼の声にハッと我に返った。今の都は猫耳と尻尾が生えている上に彼シャツ状態である。やる気が一気に削がれてへなへなと座り込んだ。
 その様子を黙って見ていた峰だったが、都の頬をするりと撫でて上を向かせた。キョトン、瞬きする彼に目を眇めて顔を近づける。


「―――え、んぅっ!?」


 避けることも出来ずに、都は目を見開いてただただ焦点の合わないアップの峰の顔立ちを見つめるのみ。睫毛長い、だなんてどうでもいいことを考えている間に、無防備な唇の間から舌が割って入ってきた。
 これには流石に驚いたが、峰の手腕にメロメロにされて段々と目が蕩けてくる。苦しそうに、しかし恍惚として潤んだ瞳に煽られて更に深いキスを施す。だがそろそろ限界に近く、都は厚い胸板を叩いた。


「っぷは!待っ、峰、んん」


 必死に酸素を取り込もうとする姿が可愛らしく、息を整える前に再び赤い唇を塞いだ。

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