「状況…猫は僕で、僕の名前は仁科都だよ」
「分からねぇ」
「僕もよく分かってないんだよねぇ」
都は尻尾を揺らしながら猫耳を触る。
「とにかく有村」
「…峰でいい」
「じゃあ峰、僕を置いてくれないかな?流石にこの格好じゃ出られない」
「…別にいいが」
「ほんと?やったー」
ニッコリと笑う都は可愛い。とてつもなく可愛らしいが、いいのかそれで。
「鼻キスでこれって、口なら完全体とかなのかな」
「するか?」
「え、出来るのか。ビックリだよ」
「都なら、いい」
峰は再び僅かに口角を上げた。ポカンと口を開ける都を見下ろす。
「僕ならいい、って…」
「…そのままの意味だ」
「好きでもないのに?」
「好きだと言ったら、どうする?」
爆弾を落とす峰。呆然と見上げる都。
(物語はまだ始まったばかり)
end.
▼