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 ふと新の唇に目線が行き無意識の内に自分の唇に指で触れた。キスされた感触が甦ってきて、そういえばファーストキス…と呟いた。宮緒の呟きを拾った新はそれはそれは綺麗に笑んだ。


「ごちそうさま」


 その意味が分からなくて宮緒は考え込む。少しの間逡巡して思い至り、唐突に行動に移す。クイ、と新の制服の裾を引いてこちらを見たその顔に自分の顔を近づけた。


―――チュ、


 可愛らしい音を立てて宮緒は潔く離れた。新は何が起こったのか把握出来ないままただ驚いていた。そんな新に「仕返し」とばかりに宮緒もまた、普段使わない表情筋を精一杯使って笑う。


「おれもごちそうさま」


 その言葉に我に返った新は慌てて口を押さえた。新の頬に朱が走る。


「っ今何を」
「何って、ちゅう?」
「いや…はぁ、」


 可愛い。確かに可愛いが何かが違う。と新は頭を抱えた。

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