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「それって」
「?」


 脈有りだと思って良いのだろうか、と新は困った。あまりにもマイペースすぎる宮緒の本心が読めないのだ。反応が薄くてよく分からない。そう思いながら宮緒を見つめる。
 見つめ返してくるその目の奥に宿る感情を探ろうとするが、たちまち断念した。ただ分かるのは、宮緒が新を拒否しなかったことと、新が宮緒に口付けた事実だけ。宮緒は新が考えていることなど分からないし、もちろん新もまた宮緒の考えていることが分からない。
 「?」の悪循環に二人して考え込む。第三者がそこにいたならばもどかしい限りだろう。しかし残念ながらこの場には二人しかいなく、秋も用事が入って席を外していた。よって二人は無言で見つめ合う状況に陥っていた。
 宮緒にとって新という存在はまだ曖昧でふわふわと漂っている。ただ、いつの間にか気づかぬうちに一緒になって寝ていたという事実に、無意識に気を許しているのだろう、とぼんやりと宮緒は思った。
 宮緒の新に対する態度は他者から見れば明らかに普段と異なっている。いつもは無表情無関心なはずの宮緒だが、新といる時だけは少なからず感情が表に出ている。そのことに本人が気づいているのかどうかは分からない(否、恐らく気づいてはいないだろう)。それ以上に、新もその事実に気づいていないために宮緒が読めないのだ。傍から見れば案外分かりやすいというのに。
 一方、新にとって宮緒の第一印象はすでに地に足を下ろしている。第一印象は「猫」っぽい少年。しかし不思議と安心する彼の雰囲気に新は惹かれたのだ。

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