15



「ん、あら、た?」


 困惑した声に、新はもう一度啄ばむような口付けを落とし離れた。


「…悪い」


 謝る新に首を傾げる。宮緒は、驚きはしたものの怒りは感じていないため、どうして謝られたか分からない。


「どうして、謝るの?」
「いや、」


 素直に口にした宮緒に新は戸惑う。どう、言えばいいだろうか。


「意思を無視しただろう」
「嫌ならおれは抵抗するよ?」


 意味が分からない、といった風に宮緒は再びコテリと首を傾げた。


「あー、だから」


 新はガシガシと自身の頭を掻いた。その様子を不思議そうに見る宮緒。


「嫌じゃないのか?…男にキスされて」


 一瞬口にするのを躊躇ったが、思い切って宮緒に聞いてみる。宮緒はふと考え込んでから顔を上げた。


「別に?」


 嫌ではなかった、と宮緒は呟く。

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