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「…見つけた」


 男―新はカラフルなクラスの中に一際目立つ艶やかな黒髪に、目を愛しげに細めた。傍から見れば不機嫌なソレ。だが新から発せられるオーラがそれを覆していた。
 ただただ、甘い。その甘さに当てられたクラスメイトを横目に、宮緒は僅かに目を丸くした。そんな宮緒を見てより一層目を細めた新は、そのスラリとした長い足で教室に足を踏み入れる。クラスメイトはその様子を固唾を呑んで見守っている。
 学校のTOPを誇る彼を羨望の眼差しで見ながらも、内心悔しさが滲み出る。


(あぁ、俺らの猫姫が!)
(大切に隠してきたのにっ)
(唯一の俺たちの癒しがTOPにバレた…!!)


 心の中で盛大に嘆かれていることなど知るはずもない宮緒は、目の前まで来た新を見上げた。


「俺は真瀬新。お前は?」


 威圧感のある低い声。しかしその中に甘さも混じっていて、宮緒はパチリと一つ瞬きをした。じっと目の前の男を窺う。


「…まなせ、あらた」


宮緒は男の名前を舌の上で転がせて、もう一度男を見上げる。辛抱強く待つ新に、コクリと頷いた。

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