06



「勉強出来なさそうなのになぁ」
「先輩、それ酷いからねか・な・り!」
「人は見かけによらねぇってことか」
「そのとぉり!」


 うふふと笑ってみせる。でもね先輩、心底意外って顔しないで。椿ちゃん傷ついちゃうから!


「絶対傷ついてねぇだろ」
「あ、声に出ちゃってた?」
「しかもかなりでかい声」
「うわぁ何ソレ恥ずかし」


 若干顔が赤くなる。あれは聞いてほしくなかったよ!だって自分のことちゃんづけしちゃってるし!


「顔赤いぞ」
「言わないで掘り返さないで」
「可愛いなお前」


 わたり先輩が僕の頭をクシャリと撫でてきた。と思ったらワシワシとかき混ぜられる。痛いってば!


「いたいよー」
「悪い悪い」
「絶対悪く思ってないでしょ」


 先輩は潔く撫でる強さを緩めて今度は髪を梳くように優しく撫でてきた。なんとなく気恥ずかしかったけれど、先輩の手が自棄に気持ちよくてウトウトしてしまう。


「眠いのか?」
「んー」
「起こしてやるから寝てろ」


 ぽんぽんとリズムよくたたいてくれる手に思いを馳せながら、僕は眠りの世界へと落ちていった。

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