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「―――白露か?」
「わたり…先輩」


 昨日と変わらない彼。


「今日は最初からサボりか?」
「あれ、もう始まっちゃってた?」
「おう。本鈴聞こえなかったのか?」
「ぼーっとしてましたぁ」


 警報は今も鳴り続けている。巻き込めない。巻き込みたくない。


「お前なぁ」


 呆れたように笑う先輩。


「今朝は食べたのか」
「…えへー?」
「食べてないのか。まあだろうとは思ったが」


 僕が誤魔化すように笑うと先輩は嘆息した。


「これ」
「?何ですかー?」


 差し出されたのはコンビニの袋。中を見るとヨーグルトが入っていた。


「ヨーグルト。それくらいなら食べれるだろうかと思ってな」
「ありがとぉ」
「どういたしまして。さっさと食っとけ」
「はぁい」


 わたり先輩と一緒に腰を下ろして食べ始めた。


「せんぱーい」
「何だ?」
「先輩は、」


 何で僕なんかを構うの?何で僕なんかに優しくするの?
 ―――僕が、サヨウナラと言ったら…どうしますか?


「…先輩は、ご飯食べたんですかぁ?」


 聞きたくて、でも聞けなかった。答えが恐くて聞けなかった。僕は、どう答えてほしいのだろう。引き止めてほしいのだろうか。


「白露?どうした」
「何でもないよお?」


 言わないで聞かないで
 気づかないで入ってこないで

 貴方が汚れてしまう!
 穢れてしまう!


「白露?」
「何でもないってぇ」


 お願いだから。巻き込みたくないから。

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