サラリ、と髪を撫でられる感覚にふと目を開く。寝起き独特のぼやけた意識と視界に飲み込まれる。体を包んだ風が少し肌寒く、近くにあった温もりに無意識のうちに擦り寄った。丁度良い温度にほっとしていると上から声がかけられた。
「起きたか?」
「………?」
聞きなれない声にぼんやりと目を開けて僅かに首を傾げる。
「寝惚けてるのか?」
不意に離れた温もりを追う。キュっと手でとらえ、離さない。
「…白露?」
困ったような声音にぼんやりと見上げる。見慣れない整った男の顔にようやく機能停止していた思考が動き始めた。
「ん、わたり、せんぱ…?」
掠れた声で男の名前を呼ぶ。そう、そうだ。僕は屋上で寝てしまったのだった。
「おう、起きれたか?」
「ん」
コクリと頷き、思考を巡らせる。段々とはっきりしてくる頭の中で1つクエスチョンマークが浮いた。
「先輩?」
「なんだ」
「あの、この状況はなぁに?」
自分の状況。それは、
「膝枕?」
「そう、それですぅ」
わたり先輩の膝の上に僕の頭が乗っているのデス。これを俗に膝枕というのだよ諸君。下から見ても美形は美形だなぁ。
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