02 フェチ×1



 名前を覚えてもらえない平凡過ぎる俺、坂井良はこの度無事に高校二年生に進級しました。花の十代なのに何故か俺は全寮制男子校に通っている。
 なんでってそりゃアレだ。ブラコンな兄貴に強制的に入れられた。「悪い虫がつかないように」らしい。意味分からんわ。こんな普通男子に虫も何も無いだろうよ。済んだことだから良いけどさ。
 まあ今はそれは置いといて。今現在体育の授業でサッカーしているところだ。そして進行形でサッカーボールが迫っている。


「あー」


 俺は早々に諦めた。いや、だって無理だろ。このボール蹴ったのサッカー部エースの山下だぜ?無理無理。当たったら痛そうだなー、とか思いながらすぐそこにまで来ているボールを見やった。


―――ドガッッ!!!!


「っ!」


 鳩尾に綺麗に決まった。ストラーイク…ってか痛いよこれ。反動で思いっきり転んだ俺は膝を擦りむいた。


「いってぇ」
「悪い、大丈夫か!!?」


 整った顔を歪ませて、焦った様子で山下が駆け寄ってくる。汗だくだくでも見れる顔なのはその爽やかさのおかげか、などとどうでも良いことを考えていれば山下の顔がドアップにあって思わず体を引いた。

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