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「…兄貴は、」


 喉がカラカラで痛い。ゴクリと唾を飲み込んでも一向にこの渇きが癒やされる気配がない。だけど聞きたいことがあるから無理にでも声を出そうとする。
 目を逸らしたくなるのを懸命にこらえて兄貴を見つめる。その表情にはたくさんの感情がない交ぜになっていて、読み取るのは困難だった。いったい兄貴はなにを思い、考えているのだろう。


「兄貴は、俺の本当の親って知ってるのか?」


 きょとん。
 言葉にするのならまさにその擬態語の合う顔をした兄貴。この時ばかりは俺にも感情が読めた。


「お前、なんか勘違いしてないか?」
「へ?」


 なにが?と首を傾げる俺を兄貴は見つめた。


「養子にされたのはお前じゃなくて、俺のほう。だから今のおふくろと親父は正真正銘、良の両親だ」
「…うぇ?」


 うっそん、まじでか。あの美形夫婦から血を受け継いでいるのにも関わらず平凡な俺っていったいどういうことなの。生命の神秘とか言うけど神秘すぎるから。


「まあ最初から話すぞ」
「オネガイシマス」


 従順な俺に兄貴は苦い笑みを零した。いやはや、早とちりしてしまって申し訳ありません。

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