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「ん、やっ…」
「やっパリイイな、良」


 低い笑い声と共に、吐息が首に掛かってぞわりと何かが背中を這う。


「思ってたよりも肌は白いし、それに痕がよく映える」
「何言っちゃってんの!?」


 理解不能だ。そう叫ぼうとしたら桃真さんは先程噛んだ場所よりも少し下の所に同じように噛み付いた。痛みと同時に甘い感覚が湧き上がってくるのを必死に無視しようと試みる。
 しかし理不尽にも、桃真さんは俺の抵抗を見てクツリと笑うだけで行為を止める気は無いらしい。器用にシャツの第三ボタンまで開けて、地肌を撫でた。状況に反して慈しむようなその手付きに俺は首を振った。
 これはマジでヤバい。本気で食われる。俺は美味しくないデスヨ!?


「いっ!?」


 ちょ、なんで鎖骨。そこ肉無いからダイレクトに食い込んで痛いんだけども。だーれーかーたーすーけーてー。カニバリズムはグロいから断固拒否!
 …と、まあ。考えないようにしてみたけどさ。たぶん、この人噛み癖ある…よね。まともな人間プリーズ。あむあむと鎖骨を噛みなさる桃真さん。ちょっと可愛いかもしれない…って流されちゃ駄目だろ!しっかりしろ俺ぇぇええ!!

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