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「そんな顔してたら襲われるぞ」
「俺を襲うような物好きはいないから平気」
「此処に一人物好きがいるって言ってんだ」


 チュ、と唇に何かが触れた。焦点が会わずぼやけるくまさんのアップにキスされたんだと理解した途端、口を押さえて後ずさろうとしたが無理だった。
 嗚呼そういえば木にもたれかかってたんだっけ、と頭の片隅で思った。その間もくまさんは口を守っている手にキスを降らせる。ああもう止めてくれ!


「…何するんだ」
「こっちの台詞だって」


 手を離してすかさずくまさんの口を押さえる。この方が効率が良いのに気付いたからだ。遅いって?馬鹿で悪かったなっ。


「ああ、そうか」
「?…!?」


 くまさんは片手で俺の両腕を拘束した。え、片手で!?どうしようこの状況!木の幹に手を押し付けられて俺は身動ぎすら不可能。あらイヤだ。貞操の危機かしら?…ついオカマ口調になってしまったのは置いといて。


「俺は気に入ったモノには執着する性質でなぁ」
「その中に俺入りませんよねぇ?」
「それが入るんだよな。人間を気に入るのは初めてだから勝手が分からんが」


 今までに気に入ったモノって何ですか。寧ろ気になる。っていうか俺をそん中に入れないで欲しいな!

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