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「愛されているんだろ?」
「…多分、だけど」
「そう思えるならお前の家族はきっと蔑ろに扱ってなどいなかったんだろう。お前を家族だと認めた上で接した。お前は、どうしたい?」


 俺は愛されていたんだろうか。いや、愛されていたんだろうな。すっと心が軽くなった気がした。


「家族でいたい」
「ならそれで良いんじゃないか?兄貴もきっと心配してるだろう」


 俺が保健室を飛び出した時、何を言っていたかは分からなかったが必死な兄貴の声が聞こえた。…心配、してくれているのかな。


「大丈夫だ」
「…ん」


 ポンポンと頭を撫でてくれる大きな手が不安を溶かしてくれる。それが心地良くて無意識にもっととねだるように擦り寄った。


「お前、なんか可愛いな」
「かっ…!?」


 ないないないっ!と勢いよく首を振る俺にくまさんは微笑む。


「可愛い。なんかこう…愛したい感じか?庇護欲をそそられるというか…」


 何そのクサい台詞!いや、自棄に似合ってるけどね。だって強面だけど顔立ちはかなり整っているから。真っ赤になっているだろう顔を必死に見えないように俯ける。


「そういうのが誘ってるって言うんだが」


 グイッと顎を持たれて顔を上げさせられる。誘ってない、という意味を込めて睨んだが、くまさんは困ったような表情をして笑う。

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