大柄なその人は笑い出した。あ、声に出てたか。恥ずかしさに頬を赤く染め上げて身じろぎする。やってしまった。後悔と羞恥で一杯一杯な俺の頭を大きな手が撫でた。
「面白い奴だな」
心底楽しげに、でも人を不快にさせない笑みに、元々緩んでいた涙腺が決壊した。だばーっと滝のように豪快に泣き始めた俺にくまさん(仮)はわたわたとしてしゃがみ込んだ。
大きな体なのに不釣り合いなその仕草がなんとなく可愛くて、可笑しくて、俺は笑った。その間も涙は止まっていなかったから、変な顔になっているだろう。
「大丈夫か?」
悪い、ハンカチとか持ってないから。そう言ってくまさんは俺の目元に指で触れて優しく拭った。優しい人なんだな、と思いながら涙に濡れる指を見つめた。
くまさんには人の心を暴く力を持っているんだと思う。ポツポツと、俺は今までの経緯をくまさんに話した。くまさんは文の脈絡などグチャグチャな俺の話を静かに聞いてくれた。
「…俺、もうどうしたら良いのか分かんなくて」
「別にどうもしなくて良いんじゃないか?」
ポンと返された言葉は予想外で涙が止まった。くまさんを見上げると、真剣な目が俺を射抜いた。
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