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「良は渡さんぞ。俺のだからな」
「別に貴方のものではないだろう?」
「濃厚なキスシーンを見ただろう」
「嫌がっていたではないか」


 冷戦が繰り広げられております。なんかもう何でも良くなってきた。


「近親相姦は法律で禁止されていることを知らないのか」
「良いんだよ、血繋がってないし」


 ………。ちょっと待とうか。さらりと重大発言したよな今。


「…血繋がってないの?」


 俺が聞けば「しまった」という顔をした兄貴。ああ、そうか。血が繋がってないんだったら兄貴じゃないのか。じゃあ何て呼べば良いんだ?
 …違う、そこは問題じゃない。やばい、頭が混乱してきた。気付いた時には保健室を飛び出して必死に走っていた。後ろから焦った声が聞こえたけれど、それが今まで兄貴だと思い込んでいた人のものだったことだけは分かった。

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