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「…兄貴は相変わらずブラコンだよね」
「ふっ、知ってる」
「……むぅ」


 自覚があるのだから困る。兄貴は興味があるかないかの二択でしか人を判断しないんだけど、俺は興味がある部類の中でもトップにいる。
 それは決して自意識過剰なんかじゃなくて、俺がまだ幼稚園の頃、兄貴の学校を訪れた際に悟った。文化祭だったっけ、うん、多分そうだ。
 文化祭で、兄貴はやっぱり美形なもんだから女子に人気でキャーキャー言われてたにも関わらず驚くほど冷めた目をしていた。それこそ感情が無いかのようなその目に、俺は無意識の内に体を震わせたことを覚えている。
 …まあ、俺に気付いた兄貴がすぐに傍に寄ってきて、恐ろしく無感情だった顔が嘘かのように甘い顔をするもんだから、悟らずにはいられなかった。


「そういうとこが可愛いんだろ」


 不満そうに口を尖らせる俺に甘く笑う兄貴に、やっぱり安心してしまうのだった。苦手なのは苦手だけど、でも嫌いなのかと問われれば嫌いじゃないと即答する。だって何かと兄貴は俺に甘いし、Sなのも…まあ愛情表現だしな。
 嫌だけど。嫌だけど。大事なことなので二回言いました。

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