29 フェチ×7



―――ガラッ


「―――失礼しまー…したぁ」


―――ガラッ


 よし、寮に帰ろう。


―――ガラッ、ガシッ


「まぁ待て」
「いやぁ!」
「お前、人を見て悲鳴とかふざけてんのか?」
「すみませんでした」


 見なかったことにしたかったです。ああもう俺どうしよう。今まで変態とか怖い人とか散々会ってきたけど、この人が1番苦手だったり。


「よぉ弟。元気にしてるみたいで何よりだ」
「なんで兄貴がいるんだよ!」
「お兄様、だろ?」


 お兄様の坂井瞬でっす☆ああ、俺終わった。


「悪い虫つけてないだろうなァ?」
「はいもちろんです!」
「じゃあその痕は何だ?」
「あ」


 忘れてた。そういや俺、キスマーク付けられてたんだっけ。と、まぁ冷静に考えてみるが実際それどころじゃあない。だって兄貴が般若と化してるんだもん。


「あはは」
「笑って済むと思ってるのか?」
「いや、笑って済んだらいいな☆って」
「俺は泣かせる気満々だけど?」
「…あーはーはー」


 この御方、容姿は眉目秀麗で知的そうな印象を持つ。だがしかし。弟の俺は知っている。この人が泣き顔が好きなどSだってことを!

prev next

 



top
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -