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そう言いたいがそれどころではない俺。更には唇を指で触ってくる始末。え、待てよ俺もしかしなくともピンチか!?
「っどっせえええい!」
俺、必死。そりゃもう必死。火事場の馬鹿力だか糞力だか知らないが、必死に頑張った。そしてその勢いのまま脱出。
「マジで同室者代えてぇええ!!」
切実な思いが寮内に響き渡ったのだった。
◇◇◇
まぁそういう訳で俺は朝から疲れている。寝起きでアレ(言いたくもない)は本当に精神を消耗する。
「はぁ」
「朝から疲れてるね、坂井」
「あ、委員長」
盛大に溜息を吐いているところに影が差し、顔を上げればそこには委員長こと、(えっと)石川響がいた。若干名前を忘れそうになるのは委員長だから仕方が無いことにしよう。
「そうなんだよ!聞いてくれるか!?」
「わ、分かった。分かったから落ち着いて」
必死の形相の俺に委員長は黒縁眼鏡がずれたのを直しながら「どーどー」と言った。俺は息を吐きながら言葉を並べる。
「池田が朝起きたら俺に跨っててさぁ」
「また?」
「そうなんだよ」
そう、実はこういうことがよくある。同室者を代えてくれよ…。
「もう本当にセクハラ止めてほしい」
池田のフェチの箇所が箇所だからかなり際どい。いや、際どいというよりもう既に許容範囲を越えているだろう。
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