11



「ってぇな」
「喧しいわ退け」
「拒否する」
「なんでだ!」


 何を隠そう、池田は耳フェチだったりする。あれ、俺の周り濃くねぇか?俺の制止を聞かずに池田は俺の唇を触り始めた。


「やめろっつーの、っ」
「ばーか」
「へへーひひはえはふへえお(てめーに言われたくねぇよ)」


 池田が俺の口の中に指を突っ込んだ。噛んでやろうか。


「唾液に濡れてエロいな、お前の唇」
「ひへはひーほほおふ(死ねばいーと思う)」
「んなこと言ってると犯すぞ」


 なんで分かるんだ。普通分からないよな、何言ってるか。
 ああ、そうだ。池田は唇フェチでもある。よくキスされそうになるんだけどな。どうにかしてほしいと思う、切実に。
 せーの、


―――ガリッ


「っ、」
「ざまーみろ」


 若干血が滲む指。ごめん、それ俺のせいだけど謝る気はないや。恨めしげに見てくる池田はスルー。だって俺眠いんだってば。押し倒された状態から逃げようと身を捩る。


「逃がすかよ」


 ニヤリ、と魔王に匹敵する笑みを池田が浮かべる。あ、やばいかも。

prev next

 



top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -