「ってぇな」
「喧しいわ退け」
「拒否する」
「なんでだ!」
何を隠そう、池田は耳フェチだったりする。あれ、俺の周り濃くねぇか?俺の制止を聞かずに池田は俺の唇を触り始めた。
「やめろっつーの、っ」
「ばーか」
「へへーひひはえはふへえお(てめーに言われたくねぇよ)」
池田が俺の口の中に指を突っ込んだ。噛んでやろうか。
「唾液に濡れてエロいな、お前の唇」
「ひへはひーほほおふ(死ねばいーと思う)」
「んなこと言ってると犯すぞ」
なんで分かるんだ。普通分からないよな、何言ってるか。
ああ、そうだ。池田は唇フェチでもある。よくキスされそうになるんだけどな。どうにかしてほしいと思う、切実に。
せーの、
―――ガリッ
「っ、」
「ざまーみろ」
若干血が滲む指。ごめん、それ俺のせいだけど謝る気はないや。恨めしげに見てくる池田はスルー。だって俺眠いんだってば。押し倒された状態から逃げようと身を捩る。
「逃がすかよ」
ニヤリ、と魔王に匹敵する笑みを池田が浮かべる。あ、やばいかも。
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