10 フェチ×3



「…ただいま」


 ガチャリと寮部屋をカードキーで開ける。猛烈に眠い。俺は眠気と戦いながら共同空間へと入る。


「…っおわ!?」


 いきなりグルリと自分の体が回転した。驚きに声を上げる俺の視界に映ったのは綺麗な金髪、耳にはピアス着けまくり、だけどやっぱり美形な不良、池田隼人。つまりは俺の同室者。に、押し倒されてます。


「なんだ池田か」
「なんだは無ぇだろ」
「つか今日は眠いから寝かせてくれ」


 小さく欠伸を漏らす。本気で眠い。


「俺が寝かせてやろうか?」
「…何故だろう、卑猥な意味に聞こえる」
「運動したらよく眠れるぜ?」
「うん、幻聴じゃなかったな」


 なんだよこのエロの塊は。言い回しがまた嫌だ。


「俺は眠いんだってば、っ!?」


 唐突にふぅ…と耳に息をかけられて俺は体を震わせた。背筋に嫌なモノが走ったんだけど!


「相変わらず良い耳してんなぁ、お前」


 腰に響く声音で耳元で囁かれて思わず顔が赤くなる。


「っこんの耳フェチめがああああああ!!」


 ガシっと池田の頭を掴み、頭突きをかます。本日二度目☆俺の頭が割れそうだこのヤロー。

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