07
「怪我したのは足だけー?」
「…ああ」
タイミング良く俺に山下を思い出させた太一は、俺が苦い顔をしたことに気づき首を傾げる。
「なんかあったのお?」
「いや、」
「あったでしょー」
「…山下が足フェチだって判明した」
渋々俺がそう言えば、太一は目を丸くした。
「山下って、サッカー部のぉ?」
「そう」
「とゆーことは、山下に足触られたでしょー」
「…なんで」
「フェチ仲間だからねぇ」
訝しんで聞いた俺が馬鹿だった。なんだそのフェチ仲間って。いや、いい。聞きたくねぇ。
「それにしても、」
「…ひぅっ!?」
掴んだままの俺の手を太一は口元に寄せて、指を口に含んだ。ぞわぞわ、と肌が粟立った俺は慌てて引き抜こうとするが、太一の方が力が強く不可能だった。
「は、離せって!」
「ひゃは(やだ)」
「っ、!」
湿った音が手の方から聞こえて、俺はプツリと切れた。
―――ガッ!
頭 突 き ☆
「っいったぁ〜!!」
「俺も痛いわこの馬鹿」
頭突きって自分にもダメージ受けるんだな。覚えておこう。唾液塗れになった手を太一の体操服で拭う。
「ちょ、汚い!」
「お前の唾液だろうが」
「そおだけどー!!」
拭い終えた俺はさっさと手洗い場に向かう為にその場を去った。は?太一?放置に決まってんだろ。
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