「―――りょー、お帰りぃ」
「おー」
このチャラ男、木村太一は俺の友人だ。髪は茶髪だし、アクセをじゃらじゃら着けている。それでもアクセに負けないほどに顔が整っているから、それはそれでムカつく。
「転んでたけど手だいじょーぶ?体勢的に手に傷はなかったはずだと思うんだけどぉ」
「…手は平気だ」
そして手フェチ。俺の手がお気に入りらしい。俺が手をヒラヒラと振ってみせると、太一は俺の手を優しく掴んだ。
「良かったぁ無事でー」
甘い笑顔は決して俺自身に向けた言葉じゃないことは知っているから、俺は溜息を吐いた。太一は俺の手の甲に恭しく口付けてきた。
「…本当、お前俺の手好きだな」
「うん。りょおの手って男にしてはゴツゴツしてないし綺麗だし、肌もきめ細かいし俺の理想なんだぁ」
うっとりとした顔でそう言ってくる太一に再び嘆息する。何故だろう、デジャヴを感じる。
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