予測不可能物語 | ナノ


▼ 004

【私はシルフ。風の精霊よ】
「セイレイ?」


 セイレイとは、"精霊"だろうか。精霊が存在することにも驚いたが、カイはそれよりも先に彼女が人ではないことに納得していた。でないと、この作られたような美貌に説明がつかない。シルフは微笑みを讃えたままカイに促す。


【ほら、貴方を心配してたくさん集まってきたわよ】
「え?」


 カイが周りを見渡せば、それはそれはたくさんの者がいた。小さなピクシーから、耳の尖ったエルフ、下半身が馬の者、鳥の者、ペガサスまで他にも様々な者が多くいたが、どの者も人間でも動物でもない。けれどカイは直感でこの者たちが自分に危害は加えないだろうと分かった。
 近くにいたペガサスに手を伸ばせば、ペガサスはカイを慰めるように労わるように擦り寄った。その行為から言葉はないものの気遣ってくれている気持ちは伝わり、カイは涙を拭うと微笑んだ。


【ほう、珍しい奴じゃな】


 唐突に声がして、海はキョロキョロとするが誰なのか分からない。ホッホッと独特な笑い方が頭に響いた。


【ここじゃ。下を見なさいな】


 下を促されるままに見れば、そこには小人のような者がいた。まるで童話に出てくる七人の小人そっくりだった。先端に丸い綿が付いたとんがり帽子を被った彼は、顔こそ中年男性のようだがどこか愛嬌がある。


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