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「…ふむ。神獣と契約とな。そのことはあまり公言せぬ方がよかろう。過去に一人そのような者がおったが、国の政治に随分と巻き込まれたという記録が残っておる。そちもそうはなりたくないであろう?」
「はい、おおやけにはしないつもりです」


 過去にも居たのか、と内心驚きつつも力強く頷いた。一度その記録を読んでみたい。もしかしたら私と同じように転生者かもしれない。


「今そのことを知っておるのは?」
「わたくしのじじょであるジジとイネスのみでございます」


 国王陛下は「そうか」と頷いて私を見やる。


「容認はするが公言はせぬ。国家の一問題になり得るからな」
「はい、わかりました」


 私が深く頷いたのを見届けて、国王陛下は下がるように命じた。王の間を退出して緊張のために詰めていた息を吐き出す。
 こんなにもあっさり受け入れられると不安になる。国王陛下には何か考えがあるようだけど、その詳細までは流石にわからない。そっと耳を澄ませてみるが防音にでもなっているのか中の音は一切聞こえなかった。

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