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「神獣様、私と代わってください」
「嫌です」
「なら私と」
「嫌です」
…いつまでその話引っ張るんですかー。お腹空いたんだってば。お腹の虫が騒ぎ出すじゃんか。
「おなかがすいたの」
「すみません、今すぐご用意します!」
ハッと我に返った二人が慌てて給仕を行う。ひとまずシルヴェストルに促してテーブルまで移動。ふかふかのソファーに座ったシルヴェストルの膝の上に座らされる私。状況が変わっていない気がする。この体勢だとご飯を食べにくいではないか。
無言でシルヴェストルを見上げる。言葉で伝わらないなら目で伝えたら良いじゃん、ということで実行中。するとシルヴェストルもじっと私を見つめてきた。改めて見ると美形だよなあ。目の保養。なんて考えていた私はシルヴェストルの顔が近付いてきていたことに気付くのが遅れた。
―――チュ。
「………」
「………」
「………シル?」
「はい」
「なにをしたの?」
「親愛の印ですが」
しんあい、親愛、ね。確かにわんこって鼻と鼻をくっつけるの好きだけどさ。私は人間なわけで。ついでにシルヴェストルも今は人間の姿なわけで。当事者以外から言わせてみればシルヴェストルがロリコン嗜好に走っているように見えるわけで。
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