51



「うごかないでね」


 しょうがないので私が結ぶことにする。私もこの身体だとあまり器用ではないんだけど、これくらいなら大丈夫。
 …私ってばなんで男の人のズボンを閉めているんだろう。ネクタイを結ぶとかならときめくかもしれないけど、これはナイよね。


「つぎはシャツね」
「これはどうするんですか?」
「ここにうでをとおして。ボタンはわたしがとめるから」


 素直に袖に腕を通したシルヴェストルに座ってもらい、そのあぐらの上に乗った。幼児の手は不器用だから動きが遅い。ゆっくりと時間をかけながらボタンを留めていく。同じようにジャケットに袖を通してもらい、再びボタンを留めにかかる。


「…よし、できた」
「ありがとうございます」


 そのままあぐらに乗った状態で手を伸ばしてシルヴェストルの頭を撫でる。おお、めっちゃサラサラじゃん。羨ましいわあ。すると前触れなくぎゅうっと抱きしめられた。


prev next

 



top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -