42 Let'sネタバレ



 私はシルヴェストルを部屋に連れ帰り、布団に抜け毛が付いてバレると困るのでベッドの下で寝てもらった。部屋に入るまでは忍び足の上に挙動が怪しかったから、傍から見れば立派な不審者だっただろう。捨て犬を拾った子供の気分ってこんな感じなんだね。
 そして、朝。元々ジジさんとイネスさんにはある程度話しておくつもりだった。この二人に協力してもらわないと、シルヴェストルの存在がバレることは必須だからね。でも、神獣であることは言わないと決めていたのに、どうしてだかバレた。たぶん、普通では有り得ない威圧感で分かってしまったんだと思う(姿はわんこなんだけどなあ)。


「…エミリエンヌ様」


 イネスさんが引きつった笑顔で私の名前を呼ぶ。バレてしまったものは仕方がない。開き直って無知な子供のふりをしよう。どうせ神獣というのがどういった生き物なのか知らないから、別段怪しがられることもないだろう。


「きのうのよるにばらをみにったの。そうしたらまっしろいオオカミがいてね、なまえをおしえてもらったんだよ」


 にっこにこの笑顔を携えてそう伝える。シルヴェストルのフルネームは安易に言ってはいけないだろうから口には出さない。これから呼ぶ時には略して「シル」と呼ぼう。その方が賢明だろう。私の腕の中に大人しく収まっている当の本人は我関せずな態度で眠っている。この状況下で寝れるなんて。随分図太い性格のようだ。私に対して敬語を使ってはいるものの、敬われている気が一切しないのは、このふてぶてしい態度のせいだろう。私としては気を遣わなくていいから楽だけど、仮にも主従のようなものなのにそれでいいのかとつっこみたくなる。まあ主従というよりは友人といった方が嬉しいけどね。



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