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 しかしこのまま置いていくわけにも、連れて行くわけにもいかない。どうしたものか。手を組んで考え込み、ピンと閃いたものがあった。ここは常識の通じない世界。オオカミが話すことの出来る不思議な世界だ。だとすると、これも可能なのではないだろうか。


「…ちっちゃくなれたりする?」
「こうですか?」


 パッと光が白い体躯から発された。眩しさに反射的に目を瞑り、次にゆっくりと開けるとそこには真っ白なわんこが。自分でも目が輝くのが分かった。すぐさまわんこを抱き上げて頬ずりする。ふかふかでものすごく手触りが良い。


「かわいいっ!」


 大きなオオカミも良いが、小さなわんこもまた良い。シルヴェストルはゆるりと尻尾を一振りしたが、されるがままで私に身体を預けている。目一杯もふもふ天国を味わっていると、頭の中で直接音が響いた。


【マスター、もう夜も遅いです。休んではどうですか】


 それは名前を告げられた時とまったく同一の不思議な音だった。一体どうしてそんな器用なことが出来るんだと白い毛玉をまじまじと見る。



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