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 生後一ヶ月が過ぎたある日に漸く母と思われる女性の顔を見た。ジジさんに抱っこしてもらって庭園を歩いていた時のこと。向こうから豊満な身体を持っているたいへん魅力的な女性が歩いてきたのだ。ジジさんが驚きながら「奥様」と言ったのを聞いて、その女性が自分の実母であることを知った。っつーかでか!どことは言わないけどでっか!などと思ってたよ。第一印象はボンキュッボンなハリウッド女優だった。そんな人がマサカワタシノハハオヤダナンテダレガオモウダロウカ、イヤ、オモワナイ。そんでジジさんの声に反応した彼女が(まだ実母だとは認められない。キャパオーバー)こちらを向いた時に一瞬だけかち合った瞳が、明らかに嫌悪の色を宿していることに気づいてしまった。そこで「あー、@だったかぁ」と思ったわけだ。うん、望まれない子供だったのか。どういう事情だか知らんが、こんな美人に睨まれるのはビビる。ビビる通り越してちびる。いやちびりはしなかったが、盛大に泣き喚いたさ。どうやら身体に精神が引きずられているらしく、嫌だな、と思ったらすぐに泣いてしまう。だからおしめとかで羞恥心なんて感じる暇などない。それは感謝だ。だって自我があるとどうしても恥ずかしくて死にたくなるじゃん。
 そんで、まあ泣き出した私をジジさんが慌てて部屋に戻ってあやしてくれた。いやあ、迷惑かけてすみませんねぇ。あまりコントロール出来ないんで、この身体。なんて思いつつジジさんの腕の中でコックリコックリ舟を漕ぎ出した私。眠りに落ちる前に浮かんだのは、どうして母は娘を厭うのだろうかという素朴な疑問だった。


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