31



◇◇◇


 結果から言うと、出来ませんでした。めっちゃ期待してたのに。出来そうな雰囲気はあるんだけどなあ。なんとなくだけど。


「…まりょくぎれ…」


 何度も試したせいか、魔力切れしたらしい。身体がちょっと重く感じる。そりゃまあ完璧なチートなわけではないし、むしろ反則技だからすぐに出来るなんてことはないんだろうけど。しかし落ち込むものは落ち込むのだ。気分転換に外に出てみようかな。今日は満月(この世界のお月様は青い)で足元も見えそうだし。
 私はぴょんと椅子から飛び降り、上着を羽織る。そーっと扉を開けて右、左、右。よし、誰もいない。今のうちに外に出てしまおう。イネスさんとジジさんには秘密。気分転換くらいで付き合わせるのも嫌だし、何より一人になりたかったからだ。来る時にチラッと見えた薔薇園に行こう。きっと月明かりに照らされて幻想的な光景が広がっていることだろう。


prev next

 



top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -