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「いろをかえる…カメレオンとか?でもげんりしらないし」


 色を変える、かあ。そういえば、色水に活けた薔薇の色が変わるっていうのは原理に入るんだろうか。一度試してみる価値はある。
 私はドレッサーの前に座り、目を閉じて頭の中に思い浮かべる。まず水に茶色の絵の具を落とす。ブラウンの色水に一輪の白い薔薇を差す。それと自分の髪色を重ね合わせる。そして自分の魔力を引き出した。


「………あれ?」


 しかし鏡には変わらない自分の姿。失敗かあ。他の方法を考えないと。


「じゃあ、ぎゃくにかんがえてみよう」


 さっきは自分の姿自体を変えようとした。なら逆に、相手側にそう見えるようにするには。


「………げんかくまほう!」


 そうか、それなら可能性だ。相手に幻覚を見せることで、色が普通に見えるようにすることが出来る。でも基本的に幻覚魔法は対一人用の魔法だ。もしくは高度な技術を持つ者なら、その場にいる数名くらいならかけられる。しかし、私は大勢の人間に対さなければならない。
 そうだ。幻覚魔法と、防御魔法を組み合わせてみるのはどうだろう。私自身を包み込むシールドの展開の上に、幻覚魔法を上乗せして自分に纏うようにする。そうすればどこから見ても誰から見ても完璧だ。
 次に問題なのが、魔法の組み合わせ。これにはかなり高度で正確な想像力がいる。一つでも綻びがあれば簡単に解けてしまう。でもその心配は必要ない。ここは元日本人としての腕の見せどころだ。私は細かい作業が得意なのだ。やって見せる。

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